研究課題/領域番号 |
61304058
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大道 久 日本大学, 医学部, 助教授 (60158805)
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研究分担者 |
紀伊国 献三 筑波大学, 社会医学系, 教授 (10114068)
高橋 正祺 杏林大学, 医学部, 教授 (40086492)
尾崎 恭輔 東海大学, 医学部, 教授 (90119660)
三宅 史郎 日本大学, 医学部, 教授 (20159172)
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キーワード | 在院日数 / 1日当り医療費 / 1入院当り医療費 / 患者区分 |
研究概要 |
各病院からの情報の収集のための体制が整備され、前年度に引き続いて、退院患者の診断名、医療費等のデータの蓄積が継続された。そして昭和61年度および昭和62年度の2ケ年分、約8万症例のデータベースの構築を完了している。一方、データの分析結果のとりまとめの作業も終了し、大学病院に関するいくつかの論点について検討を加えた。 費用構造から見る限り、大学病院の医療費は他の病院よりは高額であり、1日当り医療費で見ると、全病院の平均レベルの2.1倍、同規模の一般病院の平均レベルの35%高という結果が得られている。大学病院の医療費が高額化する要因として、受診する患者がより重症で高度な医療が必要であること、医師の養成のための教育的見地からの診療が行われていること、研究・開発のための医療行為がなされている可能生があること、さらにより質が高く信頼のおける医療に対する期待に応えるために十分な診療行為がなされていること、などを挙げることができる。 医療の質と効率を評価するためには、患者群(Case Mix)を資源消費の観点から区分する手法を確立することが重要であり、本研究においてはその1手法であるDisease Staging法の適用を行ない、各病院の診療特性の客観化を図って成果を得た。 医療費構造から見た大学病院の診療特性は、在院日数、1日当り医療費、1入院当り医療等の指標について、疾患別あるいは適当な患者区分群毎に分析すると、地域的なニーズに対応して高次機能を担いつつ、各々特徴のある多様な側面もあわせてもっていることが明らかになった。しかし、他の一般病院との医療機能上の明確な区分は必ずしも容易ではなく、今後の大学病院の制度的な位置づけや社会的役割を整備してゆく上で、さらに検討を続ける必要が認められた。
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