研究分担者 |
渡辺 正勝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (40124226)
小山 泰 関西学院大学, 理学部, 教授 (90079666)
七田 芳則 京都大学, 理学部, 助手 (60127090)
小林 孝嘉 東京大学, 理学部, 助教授 (60087509)
高橋 哲郎 北海道大学, 薬学部, 助手 (90133769)
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研究概要 |
高度好塩菌に我々の網膜視細胞にある視物質と似たセンサリーロドプシンが見い出され(津田),これがバクテリアの光感覚受容体であることが明らかにされた. 本研究班においては,これに似た光受容体を検索した結果,高度好塩菌にもう一つの光感覚受容体ホボロドプシンが見い出され,これが負の走光性の受容体であることが明らかとなった(高橋). 藻の一種であるクラミドモナスにレチナール蛋白の存在が示唆されていたが,カエルロドプシンの抗体を用いて調べたところ56kDaの蛋白が交差反応し,その同定に成功した(篠沢). 走光性を示すミドリムシ,アメーバーの光受容体についても検討している. これら光受容体はいずれもレチナールを発色団とする色素蛋白でありその構造,組成を共鳴ラマン分光法(小山),ケイ光法(神山),化学抽出法(大橋)で決めた. ロドプシン類の光反応はレチナールの光異性化により駆動された蛋白質の段階的構造変化が種々の光化学中間体を生じそのいずれかが後に続く鞭毛モーターの回転の引き金となる. センサリーロドプシンの光化学反応をナノ秒レーザーで研究した結果バクテリオロドプシンの光化学中間体と対応してSR_K,SR_L,SR_Mがそれぞれマイクロ秒,ミリ秒,秒の時間領域で見い出された(小林,津田). しかし低温スペクトル法ではSR_K,SR_Lは見い出されず,SR_Mのみしか生じなかった(七田). 他のロドプシン類ではレーザー分光法と低温分光法では同じ中間体が見い出されてきたことから興味ある結果であり今後の研究がまたれる. これら光受容体から鞭毛モーターへの情報伝達機構は視細胞の場合と比較し興味ある問題である. 渡辺等は走光性をもつ各種の藻類においてADPリボシル化によりGTP結合蛋白の検出とキャラクタライゼーションに成功した. Gー蛋白質から鞭毛モーターへの伝達機構は今後の問題である.
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