研究概要 |
ウキゴリ属のハゼについての研究は次のとうりである.島根県宍道湖の特産種であるシンゴコハゼ(假称)については,1987年9,12月および1988年1,2月に同湖における採集調査を行ない,前年度の採集と併せて各季節における採集を行うことが出来た. 1988年1月と2月に同湖で採集したシンジコハゼ成魚を長崎大水産学部で飼育し,それに性腺刺激ホルモンの処置をほどこし,催熟と産卵促進実験を行なった. これによって人工採卵の見通しが立った. 本種と習性,発生を比較検討するために同属のジュズカケハゼを福井県北潟湖で,ニクハゼを静岡県浜名湖で,ビリンゴを長崎県島原市で採集し,活魚で長崎大水産学部まで運搬し,そこで飼育して,目下,それらの人工採卵実験中である. シンジコハゼの移植適地と考えられた鹿児島県甑列島上甑島の五湖の環境調査を1987年7月に行った. 五湖の中では鍬崎湖だけが移植地としての条件をそなえていると考えられた,(道津). シロウオの繁殖生態および資源生物学的な研究は,その産卵期にあたる1987年3〜4月に愛媛県大三島町および福岡市室見川で行ない,ふ化仔魚の流下状況,ふ化仔魚の生残率などについて検討した(水野,松井). 有明海のムツゴロについては,有明海の各地の生息場における採集調査によって,成熟,成長,摂餌行動などについて研究を行った(田北). 沖縄県産のハゼ類については,ヨシノボリ属のハゼ6型について,それらの分布生態を中心にした研究を行った. また,沖縄本島の中城湾,金武湾のごく限られた干潟に生息するトカゲハゼの生態について調査を行ない,その保護対策を検討した(吉野). 以上の諸研究の結果は今後,逐次,口答発表あるいは研究誌発表を行う予定である.
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