研究課題/領域番号 |
61304075
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
畠中 坦 帝京大, 医学部, 教授 (20082084)
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研究分担者 |
神田 啓治 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (10027419)
竹内 啓 東京大学, 農学部, 教授 (90011874)
浦野 順文 東京大学, 医学部, 教授 (20009989)
藤井 源七郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50012696)
最上 平太郎 大阪大学, 医学部, 教授 (00028309)
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キーワード | 中性子 / 中性子捕捉療法 / 熱中性子 / エピサーマル中性子 / 重水 / 脳腫瘍 |
研究概要 |
○当面、国内で唯一のエピサーマル中性子照射可能な装置である東京大学弥生炉で、犬照射実験を従来に引続いて行った。深部腫瘍の中性子捕捉療法を可能にする一つの方途としてのエピサーマル中性子を実際治療に用いるための基礎データを得るため健常犬を用いて大腿その他に能照を行った。結果については次年度にまとめることが可能と思われる。 ○重水で脳その他の組織内水分を置換すれば熱中性子の深部透過が改善されるので、重水の体内組織分布を調べるため、経口その他の方法で小動物(ラット)に99.9%重水を与えた。一定期間、飲ませた後血液,脳,その他の組織を採取し重水含有量を測定することを試みた。投与方法、投与時間などの差で変化することが考えられるので、体内分布を知ることが治療目的のため重水を投与する前に重要な第一ステップである。 ○重水による毒性を確認することは上記の分布測定になさるべきものであり、次年度に予定されている。重水で水を置換することにより組織内の一定深度においての熱中性子到達可能度を理論的に計算した。これによりもし水の50%を重水で置換した場合、同じ中性子強度が、2cm深い所で得られることが示唆された。 ○従来に引続いてヒト脳腫瘍の治療経験の増大に努めた。61年度中に欧洲人1人を含め計5人の治療照射が行われ、これ迄に通算82例となった。本療法により治療された患者のうちすでに3人が10年以上生存を果たし、最長生存は15年に達した。この患者には腫瘍、再発は全く見られず、完全治愈と広く考えられている。
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