研究概要 |
1.新しい国際地球回転事業(IERS)における我が国の役割に関する国内調整。1)超長基線電波干渉法(VLBI)。a)緯度観測所は、電波研究所との観測協力に関する取り決めに従い、鹿島局の26mアンテナを用いて、IERSのVLBI観測に参加の意思を表明する。b)緯度観測所は、電波研究所,東京天文台,海上保安庁水路部,建設省国土地理院と協力し、IERSのVLBIデータ解析センターを担当する意思を表明する。2)大気角運動量に関する活動。緯度観測所は、米国、英国のセンターとならび、大気角運動量計算センターとしての参加の意思を表明する。3)人工衛星レーザー測距法。海上保安庁水路部,東京天文台が観測所として参加を申し入れる。 2.IERS参加に関する国際調整。電波研究所鹿島局のVLBI観測参加に伴い、VLBIの国際的責任者との調整によって、新たな国際的観測網を構成する調整を行なった。新観測網は、鹿島と米国の3局からなり、観測網センターは、緯度観測所が担当することで合意が成立した。3.IERSの決定。3月20,21日米国ジェット推進研究所(JPL)で開かれたIERSの評議員会において、我が国からの申し入れは、全て承認された。これによって、新技術を用いた地球回転研究の国際体制への我が国の基本的対処は成った。 4.今後の方針。国際的動向を見ると、地球回転研究のための観測手段としてVLBIを最も重視し、その導入を図っている。我が国においても、専用のシステムを運用し、IERSの活動に寄与する態勢を早急に整える必要がある。同時に、日本を中心とした観測網を拡大し、その効率的運用を図るため責任あるセンターとしての役割を果たさなければならない。
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