研究概要 |
気候変動国際協同研究計画(WCRP)の日本における実施案がまとまり昭和62年度から開始されることになった。この研究計画においては、気象・気候の数値モデルによるコンピューター実験が中心的役割をはたす。気象・気候の数値モデルには莫大な計算を要し、このため、コンピューターの能力が劣っていた日本においては、この方面の研究は大幅に立遅れていた。最近に至ってコンピューター事情の好転に伴って、数値モデルによる研究がようやく日本でも可能となり、世界のレベルに追いつきつゝある。このような状況下において、既に蓄積のある世界の研究者から最近の成果や問題についての情報を得ることは、日本での研究を加速するのに必要かつ有効である。 折よく、昭和61年8月初旬に東京で短期・中期の数値天気予報に関する国際シンポジウムが開催され、数値モデルによる研究を行っている研究者多数が日本を訪れた。そこでこの機会を利用し、特に12名の第一線研究者を選んで早めに来日してもらい、日本の研究者とともに研究会を開いた。その概要は次の通りである。期日:昭和61年7月30日-8月2日。場所:京都市・京大会館。参加者:国外12名(米,英,スイス,中国,韓国)、国内約40名。発表論文数:50。 研究会では、東京でのシンポジウムでは聞けないような、数値モデルについての詳細なノウハウや、現在進行中の研究についての中間結果などを話してもらい、一方、日本側研究者もそれぞれの研究成果や経過を発表して討論を行い、今後の研究推進に有用な情報を得ることができた。したがって、この研究会を開いたことによって、日本のWCRPにおける数値モデル研究グループの研究実施計画は一段と向上し、世界のトップレベルに近づいたものと思われる。
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