研究課題
シンクロトロン放射光をプローブとした物質科学の研究は、増々盛んになっており、急増するニーズに対応して放射光利用時間を確保することが緊急の課題である。一方、更に研究の質的向上と新手法・新分野の開拓ためには放射光源の波長領域の拡大と高輝度化が必要であり、この点が将来計画の眼目である。このような観点から、本総合研究(B)では、国家的見地から将来計画とその推進の手順について検討し、次のような方針が立てられた。1.急増するニーズの対策(1)高工研放射光実験施設の利用は増々盛んになり、緊急の対策としてビームラインの増設と運転時間の伸長が要請される。(2)汎用の光源リングを地域性を充分配慮して、全国に数ケ所建設する必要がある。2.研究の質的向上と新手法・新分野の開拓(1)硬X線領域を利用する実験研究が急速に増えており、欧米諸国に先駆けて新しい研究分野を開拓するため、トリスタン計画の蓄積リング(6〜8GeV)を昭和62年度から利用する予定である。この計画で得られる成果、経験は新しい高輝度リングの建設に大きな貢献をするであろう。(2)トリスタン計画の主リングは、アンジュレータを追加し、6〜8GeVで運転すれば超高輝度の硬X線光源となる。これが早期に利用できれば、未踏領域の世界最先端の研究を展開できる。(3)将来のニーズに対応し、多様な実験研究を展開するため、高輝度X線専用光源(6〜8GeV)を建設する必要がある。これは前頃(1)、(2)の遂行により技術上の問題点を解決しつつ建設要員を養成して初めて可能になる。(4)真空紫外・軟X線領域についても、従来の研究の質的向上と新分野開拓のため高輝度専用光源が必要である。
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