研究課題
細胞内には特有の構造を有する多種多様な小器官が有機的に一貫した形で維持されている。それゆえ、細胞は薬物の刺激に対してそれぞれの小器官は有機的につながり、整合性を維持するように情報が流れ、応答するのである。本研究班は、この情報の伝達ならびに応答における多段階かつ多種多様な機構を、【I】細胞表面受容体ならびに膜内シグナル伝達機構、【II】細胞内膜系の解析ならびに関与、【III】細胞骨格系の関与の解析、【IV】細胞核、DNA複製ならびに遺伝子発現、という素反応を分子レベルで検討し、それぞれの共通因子及び相互関連性につき検討を試みた。その結果、個々の素反応の解析における分子レベルの研究は、目ざましいものが認められる。しかしながら、薬物に対する細胞の応答、特に相互関連性という立場からの研究はその重要性にもかかわらず、まだほとんど解析されていないとの問題提起が行われた。以上の理由により、薬物に対する細胞応答を細胞内の素反応を主軸として、これら素反応の有機的な相互の関連性につき、薬学という立場から検討することは重要な研究領域であると同時に、細胞応答の一貫した整合性を分子レベルで検索することは、新しい薬物を開発するにあたって理論的な基盤を提出するという意味でも重要な研究領域であると結論された。
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