研究分担者 |
本蔵 義守 東京工業大学, 理学部, 助教授 (00114637)
岡本 真実 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (40016853)
菊地 実 東京工業大学, 工学部, 教授 (30089817)
後藤 和弘 東京工業大学, 工学部, 教授 (70016260)
福田 豊彦 国立歴史民族博物館, 歴史研究部, 教授 (80016617)
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研究概要 |
全国の地方公共団体の協力をえて全国製鉄遺跡の調査を行い, その成果の整理を行った. その結果に基づき全国の古い製鉄遺跡の代表例を選び, 各遺跡から資料を収集し分析を行った. 1.鉄滓の研究, 秋田県, 群馬県, 滋賀県及び岡山県下の古代の製鉄遺跡から出土した鉄滓の分析を行い, 原料鉱石の質について, その解明を試みた. この中で, 滋賀県大津市桜峠遺跡(7世紀)の製鉄原料は, 磁鉄鉱に含水燐酸カルシウム, 角閃石を含む接触交代鉱床由来の鉄鉱石であることが判明した. こうした鉱石は, 滋賀県下でも特異なものであり, 鉱石採掘地域を解明する手がかりが出来た. また岡山県下の古墳出土鉄滓の分析から, 岡山県においても6世紀には製鉄が開始されたことが判明した. 2.炉材の研究:古代からの近世の炉材の分析を行い, その結果岡山・広島県地方に於いて, 9遺跡60試料を対象にして炉材中のアルミニウム/珪素などの比は時代が下るに連れて, 一定の範囲に収束することを見いだした. これは炉材中の砂と粘土の比率を一定の範囲に保つことを目的としたものかとも思われる. 3.岡山県下の近世のたたらの地下構造の解析:岡山県真庭郡新庄村神庭谷・奥土用遺跡において近世たたらを代表する典型地下構造を有するたたらが発掘され, その素材に「カーボンベッド」と思われる特異な層が見いだされた. この素材を物理・化学的に分析したところ, その炭素分は2, 3%に過ぎず, 高度な処理を経て, 炭素分が分散されたことが伺え, その役割も, 保湿と断熱という点にあると推測した. 4.鉄器介在物の研究:鉄器に含まれる介在物を電子顕微鏡と螢光X線装置によって分析し, 鉄器の制作地及び原料鉱石の同定を試み, 幾つかの遺跡において原料鉱石の質を明らかにすることが出来た. 上記の研究に関しては, 今後も継続して行う予定である.
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