研究概要 |
永渕は, 昨年に引き続き,突発性難聴児2名について聴覚と言語のテストを行い,昨年の成績と比較した結果,言語機能の向上には聴覚以外の要因が示唆された. 脳損傷児3名の追跡調査で, 左半球の言語機能,右半球の言語代償能力,左右半球の機能的差異が個人差と共に発病時の年令に大きく左右されることがわかった. また成人と小児で言語機能の障害とその回復の差を示す貴重なデータを得ることができた. さらに成人の 前頭葉損傷で吃音が発現したケースを検討し,吃音と脳損傷の関連性を知る手掛りを得た. 菅井は, 昨年に引き続き, 30名の脳損傷児に対し実験教育を行った. また聴覚障害児35名に対して引き続き実験教育を行った. その結果脳損傷児の音声言語形成の諸相に関する資料を収集すると同時に聴覚障害児でも同様の資料を得た. またアメリカの聴覚障害児の教育についても検討した. これらの結果の一部を学会発表し,論文に作成した. 坂本は, 健常児および聴覚障害児の伝達行動見本の収集を継続し,非音声言語の形成過程を中心に分析を進めている. また,健常成人12名,聴覚障害成人5名について,手話を中心とする非音声言語の学習実験を行った結果について分析を進め,同時に100頁程度の学習教材を作成している. 手話および指文字の学習には従来, かなりの日時を要し,かつ実地経験を課さないと使えるようにならないと言われて来たが,教材と指導法に配慮をすれば20時間程度の講習で,基礎的な語彙や文法をかなり習得することが可能であり,さらに以後の学習をも容易化できる, ということがわかって来た. この実験結果から,誤学習分析などに基ずく,講師用の教材(教授テキスト)の作成も始めている.
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