研究分担者 |
根本 誠二 明治大学, 文学部, 講師 (10250995)
宇佐美 正利 明治大学, 文学部, 講師
吉田 文夫 明治大学, 文学部, 講師
孝本 貢 明治大学, 商学部, 教授 (60101333)
長谷川 匡俊 淑徳大学, 社会福祉学部, 教授 (10095408)
YOSHIDA Fumio The Facutly of Literature
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研究概要 |
本研究の成果は以下の三点に集約される. 第一は, 61年度・62年度の2カ年にわたり, 佐渡の大願寺, 若狭の妙楽寺, 多田寺, 越前の称念寺, 能登の総持寺の調査を行ない寺檀関係を中心とする史料の収集をしえた. さらに石川県立図書館・金沢市立図書館・福井県立図書館・京都府立総合資料館で閲覧とマイクロフィルム化をしえた. 第二は, 62年度着手した寺院で, 越前の永平寺・仏国寺, 宮津市の丹後国分寺, 丹後の久美浜町の本願寺・如意寺・遍照寺, 網野町の中性院, 大江町の観音寺の調査を行い史料の収集をした. 加えて丹後郷土資料館所蔵資料の閲覧とマイクロフィルム化をしえた. 以上の寺院・図書館・資料館等関係の調査をふまえて, 史料の現地における所在の目録化を行い, また討議を重ねて在地における庶民層と宗教の関係の実態についてある程度の解明と, 今後の研究の見通しを得ることができた. 第三は, 62年度に新たに着手したもので, 渡来神系の神を祀る神社と丹後を中心とする日本海沿岸に集中的に見られる神仙思想の伝承分布の調査である. 渡来神系の神社については丹後の宮津市の由良神社, 伊根町の宇良神社(旧浦島明神), 峰山町の波弥神社, 丹後町の竹野神社, 網野町の網野神社・島児神社・六神社(以上ほとんどは式内社)の現社地と旧社地, ならびに関連する神明山古墳を調査した. その結果, 神社にあっては古代の渡来神名が中世には神道説の盛行につれて相殿神に格下げされるか, 主神である場合は天酒大明神とか新羅大明神などと変容されること, 江戸中期以後になると復古神道によって抹消されて記紀的神名に代えられていったことを確かめえた. 神仙思想は日本海を通じて直接対岸の大陸から伝えられたもので, 畿内とは関係はないこと, 庶民との関わりの深いものとして展開したとの見通しをえた.
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