研究課題/領域番号 |
61410016
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
塩野谷 祐一 一橋大, 経済学部, 教授 (50017521)
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研究分担者 |
小野 旭 一橋大学, 経済学部, 教授 (60054318)
藤野 正三郎 一橋大学, 経済研究所, 教授 (10017650)
武隈 慎一 一橋大学, 経済学部, 助教授 (10134876)
宮澤 健一 一橋大学, 経済学部, 教授 (30017511)
荒 憲治郎 一橋大学, 経済学部, 教授 (70017515)
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キーワード | 情報化 / 産業構造のシフト / 市場機構の安定性 / 産業組織 / 経済政策 |
研究概要 |
1.情報化に伴って情報関連産業のウェイトが上昇し、その結果部門間での労働移動が必要とされよう。移動が円滑に進行するか否かは雇用問題の観点からみてきわめて重要である。従来までの移動の実態をみると、産業構造の変化に対応してきたのは主として新規労働力であり、既就業者の職業移動の効果は小さい。それゆえ、産業構造のスムーズな転換のために、職業訓練や移動障壁の徹廃など、労働市場の流動化政策が不可欠である。 2.情報化によって経済主体の相互依存性は深化されるが、問題はそれが市場機構の安定化要因となるか否かである。この点に関しては、(1)真の情報を取り出すための選別過程の存在,(2)需要者と供給者との間での情報の偏り,(3)与えられた情報に対する主体の反応の大きさ等を検討する必要がある。また不確実性のある市場の下では、期待形式の方法が市場機構の安定性や調整速度を左右しうる。本研究では合理的期待を想定した場合の市場均衡の問題に関しても検討を加えることにした。 3.情報化が巨大化した企業の分散を促すか否かは、見解の分かれる論点である。情報処理設備の導入は資本集約度を高め、また全国的規模の情報網の有無が企業経営の成否を決定するようになる。それゆえ、情報処理設備や全国的情報網をもたぬ中小企業が淘汰されたり、大企業の下請として系列下に編入される場合もある。したがって情報化が競争促進的とは一概にいえない。 4.情報化によりアナウンスメント効果が大きくなり、人々を誘導しやすくなっている。その結果、単位時間内における経済諸量の変動が増幅される。かくして変動緩和のため、政策的対応にもますます機動性が要請されよう。また、上記の傾向から示唆されることであるが、情報化が思想や文化に対して方向づけを含む可能性がある。それゆえ、情報化に伴う経済体制の変貌を思想的側面からも把える必要がある。
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