研究分担者 |
福田 徳樹 口京藝術大学, 藝術資料館, 助手 (90015280)
稲葉 政満 東京藝術大学, 美術学部, 助手 (50135183)
杉下 龍一郎 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (40015227)
歌田 真介 東京藝術大学, 美術学部, 非常勤構師 (30272644)
佐藤 一郎 東京藝術大学, 美術学部, 助教授 (30143639)
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研究概要 |
1.本年度は以下14点の油画の対象とした. 高橋由一「花魁」「鮭」, ワーグマン「少女」, 浅井忠「収穫」, 百武兼行「ブルガリアの女」, 原田直次郎「老人」「靴屋の阿爺」「高橋由一像」, 山本芳翠「西洋婦人像」「自画像」, 五姓田義松「繰芝居」「西洋婦人像」, 原撫松「裸婦」, 松岡寿「凱旋門」. 2.上記14点について以下の頃目の調査研究を行った. (1).可視光線, 赤外線, IRTV, 紫外線蛍光, X線, 手術用顕微鏡による光学検査および写真資料の作成. (2).カンバス耳部分から採取した試料のクロスセクションによる光学顕微鏡観察および写真資料の作成. (3).同試料のX線マイクロアナライザーによる試料表面の微細構造および組成の解明. (4).作品の技法・保存状態の観察および記録. (5).(1)〜(4)にもとずく材料, 技法, 保存, 修復に関する考察. 3.上記調査によってさまざまな知見が得られたが, 中でも下記(1)項は予期せぬ発見 (1).浅井忠「収穫」IRTV画像からの合成写真によって, 「収穫」の墨線による下素描の全貌が明らかにされた. さらに, X線写真によって下層に二見ヶ浦日の出風景が描かれていることが発見された. この二見ヶ浦風景には, 工部美術学校時代に教えを受けたフォンタネージの影響が色濃くうかがわれる. (2).高橋由一「花魁」と「鮭」との間には技法上のかなりの隔たりがみられることがX線写真によって明白となり, 由一の油画技法修得の経緯を考察する興味深い資料が得られた. 4.昨年度に引続き, 東京芸術大学美術学部紀要第23号に昨年度後半および本年度前半に調査した14点の作品についての研究の詳細を発表する.
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