本年度は、三年計画の最終年度として、X線薄型多重望遠鏡のプロトモデル2号の製作とその性能評価をめざして研究を進めてきた。 プロトモデル2号の製作については、若干の遅れはあるが、有効直径240mm、ミラー長100mm2段の望遠鏡を設計・製作してきた。ミラー本体はアルミでできており、1段目と2段目の間及び円周方向48本のミラーサポート治具に対する微調機構をつけた。この微調機構については、単独の円錐鏡に対するアラインメントにより、その有効性を確認した。プラスチック(ポリイミド・フィルム)で作る円錐鏡については、アルミの円錐金型を数μmの精度で精密加工により製作し、この金型を用いて製作したものが、当初の目標である3分角の角分解能を満たすことを確認した。また大量に作られた円錐鏡のミラー本体枠に組み込む前の歪み評価システムとして、大面積の可視当平行ビームと、画像解析装置からなる光学評価システムを製作した。これによりmm以上のスケールにおける歪みを、効率的に評価する手法が確立した。 一方X線鏡面としてのミクロなスケールにおける粗さ評価の方法として、従来のX線散乱測定法に加えて、走査型トンネル顕微鏡による測定を試みた。その結果、1μmスケール以下数〓の横スケールの領域に対して、高さ方向数〓の精度で評価することができることがわかった。これは今後鏡面評価の有力な方法となる。 X線による結像評価システムでは、X線望遠鏡を真空槽内で、X線ビームに対して垂直に走査する駆動システムを製作した。X線検出器のシステムについては、計画が遅れており現在整備中である。
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