研究概要 |
従来からのわれわれの観測は、CygX-3からのγ線の信号を検出しているが、このγ線のひきおこす空気シャワーがミューオンを殆んど含んでいないということが、われわれの得た信号の特徴である。これはγ線に対して、通常の相互作用モデルから期待されている通りの結果であるが、ドイツのグループの観測結果-γ線の異常な相互作用を必要とする-と異っており、今後の追試を必要としている。 より高い統計精度,より良い角度分解能等、改善された観測装置が必要となってくるが、本研究では、高頻度(約250events/hr)のデータ収集により行うことが既に60年12月より開始されている。これを昨年(61年11月)よりさらに改良し350events/hrとした。これに加え、昭和61年度の研究は、(1)8台の検出器を追加し、電子回路を整備することなどにより、γ線の到来方向を決定する角度分解能を改良すること,(2)ミューオン検出器の信号を高頻度のデータ収集システムに結合することの2点が中心的な課題であった。(1)は61年度11月に、(2)は62年2月までに完了し、これらをとり込んだデータ収集が現在順調に行われている。この結果、ミューオン検出器の面積は、125【m^2】となっている。角度分解能がどの程度改良されたかについては、現在解析検討中であるが、2゜程度以下と思われ、来年度以降さらに装置を増強して改良の予定である。 以上の、高頻度収集によるデータの予備的解析結果は、61年6月のDumand日米セミナー,8月の英国ダラムに於ける超高エネルギーγ線についての国際ワークショップ,10月の日本物理学会等で報告されている。
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