研究概要 |
年度当初に計画した, 32台の到来方向検出器の改良, 即ち光電子増倍管の置きかえ, 回路の新設は予定通り完了した. この結果, 角度分解能は1°程度にまで改良されたと期待されるが, 改修後の検出器の位置を精度良く測量する等の諸較正がほぼ完了し, 現在その確認のためのデータ解析を行っている. 一方改良作業に平行したデータ収集は継続して行われている. 別途予算により付加されたミューオン検出器データ(従来の4倍の検出面積)が62年3月より使用可能となり, 現在までの約10ヶ月のデータについて, CygXー3,HerXー1,4U0115+63などの天体についての解析を行っている. その一部は62年8月モスクワで開催された宇宙線国際会議で報告され, その後のデータを加え63年春の日本物理学会で発表すべく準備中である. 本研究の目的の一つは, 高頻度のデータ収集により, 時間, 日, 程度の時間スケールでのγ線強度の変動を検出可能にすることである. HerXー1等について期待通りの計測数(但し宇宙線粒子の雑音)が通常安定して観測されている. その安定した平均計測数から有意に増大した計測を示す時期がときどき認められ, そのデータセットに対し, 既知のX線変動周期との同期を検定し, γ線信号としての可能性を確認する作業を行っている. 点源によらない一様成分のγ線を検出するために, ミューオンを伴わないシャワーの方向分布は, 本研究による予備的結果と従来からの明野観測所の過去のデータとが一致していることが見出された. 本研究の高頻度データの蓄積により, 統計的に充分有意である結果がまもなくえられるものと期待している.
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