研究概要 |
1.実験に用いる重力波アンテナ(アルミ合金5056製1,200kgねじれ型)は, まず3分割で作りそれを溶接によって一体化したものである. この場合, アンテナの上下のバランスがくずれていると外部からの振動に容易にカップルするため, バランスを調整しアイソレーションを良くすることが必要である. 一方, アンテナのQ値が非常に高くバンド幅が狭いため, 目標信号を捕らえるためには共振周波数を一定の範囲以内に収める必要がある. そこでアンテナの上下の首の部分をわずかづつ削ってはバランス及び共振周波数を測定するというステップを繰り返すことにより, 共振周波数の微調整とバランスの調整を行なった. 2.大型クライオスタット(直径1.8m, 高さ3m, 液体窒素を使わないガスシールド形式)の周囲に, アンテナ・防振系の支持と液体ヘリウム供給のための架台を建設した. 真空中に置かれる防振系は, ステンレスのおもりとバネを多段に重ねた形となっている. 架台は鉄骨構造であり, 10tonの重量に耐える強度を持っている. 3.4Kにおけるアンテナのブラウン運動はまだ観測されていないが, このための電気系の準備が行なわれた. 機械信号を電気信号に変換するトランスデューサーは静電型を使用するが, モデルアンテナ(100kg)に静電型トランスデューサーを組合せ, 低温における重力波アンテナのコールドダンピング電子同調などの技術を試験し, 実用可能なことを実証した. 4.重力波アンテナの出力を長時間(1000時間)フーリエ解析し, 雑音帯域幅を狭めることにり感度をあげるには, かにパルサーからの重力波の目標周波数が精度良くわかっている必要がある. そのため, 岡山天体物理観測所において, 光学望遠鏡を用いた, かにパルサーの光パルスのタイミング測定が引続き行なわれた.
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