研究課題/領域番号 |
61420015
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 鎮男 東京大学, 理学部地質学教室, 助教授 (50011656)
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研究分担者 |
金川 久一 東京大学, 理学部地質学教室, 助手 (40185898)
小沢 一仁 東京大学, 理学部地質学教室, 助手 (90160853)
村田 明広 東京大学, 理学部地質学教室, 助手 (20143373)
伊藤 谷生 東京大学, 理学部地質学教室, 助手 (50111448)
鳥海 光弘 東京大学, 理学部地質学教室, 助教授 (10013757)
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キーワード | 変成岩 / スレート / オフィオライト / ファブリック / 歪 / 変形メカニズム |
研究概要 |
広域変成帯(三波川帯、領家帯)、スレート帯(北上山地)、オフィオライト帯(早池峰・宮守超塩基性岩体)において、様々な条件の下で流動変形した岩石(チャート、泥質岩、カンラン岩)の構成鉱物(層状珪酸塩鉱物、石英、カンラン石)の定向配列を、X線texture goniometerを用いて定量的に解析し、変形条件や歪との関係を調べ、以下の点を明らかにした。 1.三波川帯のチャートでは石英粒子は偏平で顕著な結晶軸の定向配列を示すのに対し、領家帯のチャートでは石英粒子は等粒状で明瞭な結晶軸の定向配列を示さない。三波川帯の石英中には転移の密集しているのが観察され、またそのファブリックは転移すべりによる数値モデルとパターンが類似している。一方、領家帯の石英は転移密度が低く、そのファブリックは転移すべりでは説明できない。以上のことから広域変成岩の変形メカニズムとして、低温高圧側では転移クリープが、高温低圧側では拡散クリープが支配的であると結論される。 2.スレート帯では、低温側と高温側で歪量の増加に伴うファブリック強度の増加の程度が異なる。劈開の微細構造は、低温側では炭質物等不透明鉱物の濃集によって特徴づけられ、高温側では再結晶層状珪酸塩鉱物の定向配列によって特徴づけられる。従って、スレート劈開の形成メカニズムとして、低温側ではpressure solutionが、高温側では選択的再結晶が支配的であったと考えられる。 3.オフィオライトのテクトナイトメンバーのハルツバージャイト中のカンラン石のファブリックは、a軸が線構造に平行でb軸が面構造に垂直な定向配列を示し、これは転移すべりによる運動学的モデルと良く一致する。従って上部マントルの主要な流動変形メカニズムは、転移クリープであると判断される。
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