本研究では、昭和60年度より交付を受けて実施している試験研究(2)によって製作途上の、低バックグラウンド質量分析計の製作を受け、それに続いて、イオン顕微鏡を完成させるため、その一部である、電場電極および電場容器、この分析計の前に接続してイオン顕微鏡を構成するための、試料容器、顕微鏡鏡筒、イオン検出部容器、およびそれらの間の継ぎ手などを製作した。 電場容器と電極には、電場方向からの光ビームの照射により、試料表面上で、質量分析計側からみたイオン光学的に最も適正な位置に、一次イオンビームを当てることができるように、光の導入穴が設けられている。また、将来の拡張性を考え、イオンポンプによる排気も可能なように、電場容器には、接続のためのフランジを設けた。 製作済みの部分は、逐次、真空排気テストを行うため、停電時の装置保護や将来の測定に備えたパーソナルコンピューターによるオンライン化を目指した電源回路の製作を行った。これにより、真空排気の夜間連続運転が可能となる。しかし、現在のところ、排気系の一部には、B-Aゲージ球などガラス部分を含むため、無人運転時の突発的な事故によるガラスの破壊などの危険性がある。これを改善するために、ヌードゲージを採用し、システム全体を金属とする計画である。 分析管部は、160l/sのターボ分子ポンプによる排気により、1.5×【10^(-7)】Tarrの到達真空度が得られている。来年度は、製作が完了した各部の排気テストを行いつつ、試料導入部や、一次イオンビームを作るための電極類の設計製作を行う予定である。
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