研究概要 |
分析イオン顕微鏡の分析部として昭和61年度に製作した分析管の真空排気テストを行い,ベークアウトなしの状態で1×10^<-7>Torrの到達真空度が得られることがわかった.さらに,短時間ではあるがベークアウトを行なった結果,約1桁高真空の到達真空度が得られることも判明した. 本年度は,試運転により明かとなった,ターボ分子ポンプの振動の影響を取り除くため,ベローズを用いた継ぎ手を購入した.さらに,各部を固定設置するための架台,電磁石微動のための移動台,イオン源容器類,イオン源用電極類,試料導入部等の設計・製作を行なった. 今後は,これら製作した部品を接続し,真空排気テストを行なうと同時に,超高真空を確保するためのベークアウトを繰り返す予定である. これらイオン顕微鏡装置の製作と並行して,周辺装置として,プリズムとテレビカメラを組み合わせて使用することにより,試料表面の動的観察および表面の連続記録を可能とするため,顕微鏡テレビ装置とビデオデッキを設備として購入した.これらのテストについては,イオン顕微鏡本体の完成を待って行なう予定であるが,各設備単独での動作は良好であることがわなった. 一方,従来から引続き行なっている同位体比変動の研究に関しては,隕石のコンドルール中でマグネシウム同位体異常を示す鉱物種を同定するため,大阪大学の日立IMAー2A型SIMSによる同位体比測定と同時に,鳴門教育大学のEPMAを用いてSIMSによる分析場所の元素の定量分析を行った.その結果,当初SIMSの分析のみから推定されていた通り,フォルステライト成分に富んだカンラン石中に主として^<24>Mg同位体過剰が存在することがつきとめられた.
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