研究概要 |
MgO単結晶薄膜に内在する金属微結晶として, 昨年度はAu,FeおよびTiについての実験を行い,すべての金属は大きさ数mmの微結晶としてエピタオシヤル成長をしているが, 特にTiの場合にはTiO微結晶として成長することが明らかにされて来た. 本年度は, 上記金属のほか, PbおよびCrについて実験を行ったほか,PbSおよびGeについても同様の実験を行い, さらにFeについて詳細な実験を行った. MgOーPbの場合,Pb微結晶はMgO膜中にエピタキシャル成長をする. 現在, この試料を用いてoffーBraggの條件の下でPb原子タラスターの観察を試みている. MgOーCrの場合,Crは大きさ1mm見当のαーCr微結晶として成長し, サイズ効果として知られているAー15型構造を持つ8ーCr結晶は観察されていない. このCr微結晶はMgO格子との適合のため3〜5%の歪を持っている. この試料を1000℃数分間熱処理とすることによりスピネル(Mg_2CrO_4)微結晶の成長が観察される. この試料のasーgrown膜は常磁性を示す. MgOーFeの場合,1000℃の熱処理により高温型のγーFeの成長が観察され, この微結晶の周辺部はMgO格子との適合のため特徴的な歪を持つことがさらに詳細に明らかにされた. MgOーPbSの場合,PbS結晶はMgO膜中に殆んど成長しないで, エピタオシャル関係を持つ膜が共在している. MgOーGeの場合には, GeはMgO膜中に非晶質として成長し, 熱処理により結晶化は認められるが特定の方位関係は持たない. また1000℃の熱処所によりスピネル(Mg_2,GeC_4)微結晶の成長が観察される.
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