研究課題/領域番号 |
61420018
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
美浜 和弘 名古屋大学, 工学部, 教授 (50023007)
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研究分担者 |
岩間 義郎 名古屋大学, 工学部, 教授 (40022975)
田中 信夫 名古屋大学, 工学部, 助手 (40126876)
一宮 彪彦 名古屋大学, 工部, 助教授 (00023292)
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キーワード | サーメット / 単結晶複合薄膜 / 電気抵抗 / 磁性 / 高分解能電子顕微鏡法準結晶薄膜 |
研究概要 |
昭和63年度においては、まず高分解能電子顕微鏡を用いてAuーMgO、PbーMgO、PdーMgOの複合膜中に含まれる、直径1nm以下の原子クラスターの同定を行なった。この方法は通常の晶帯軸入射の条件では、MgO単結晶膜の強い格子縞によって同定しにくい微小原子クラスターを、電子線を傾けて入射させ高分解能像を撮影することにより、MgOの格子縞を消し、原子クラスターの像を浮き立たせるものである。この方法を用いて、AuーMgO、PbーMgO複合膜中の原子クラスターの同定に成功した他、PbーMgO複合膜においてはPb微結晶とMgOマトリックスの界面に酸化物PbOが存在していることを確認した。この傾斜照明観察法はこれまでの晶帯軸入射観察法にない特長を有しており、薄膜、表面の新しい観察法として今後普及する可能性をもっている。 次に本年度はAuーMgO、PdーMgO複合膜の電気抵抗測定とFeーMgO複合膜の磁性測定を行なった。この測定は本研究課題の目的である複合膜の原子レベルの構造と物性との関連を明らかにする上に必要なものである。前者についてはAuーMgO、PdーMgO複合膜を試料として-150℃から250℃の温度範囲で測定が行なわれ、この範囲で試料は負の温度係数を示し、その振舞は活性化トンネリングモデルにより一応説明されることが明らかになった。後者についてはFeーMgO複合膜を試料として、SQUIDを用いて4K〜300Kの温度範囲での磁化率の測定を行ない、その振舞から、従来真空蒸着法で作製される薄膜では報告されていないスピングラスの状態が存在していることを確認した。
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