研究概要 |
本研究は, 従来の干渉計では, 特別な光学部品を用いないかぎり困難であった非球面形状を有した物体を, ゾーンプレート干渉計の光学の波長を変えることで容易に測定可能とするものである. 実際の実験では, 波長可変な光源としてAγレーザによりリポンピングする色素レーザと半導体レーザの二種類を用いて, Fナンバー3および4程度の中口径放物面ミラーの形状誤差を測定した. それぞれの放物体に対して, ミラー全面の測定を行うためには, 数nmの波長変化が必要であったが, これはゾーンプレートの焦点距離および干渉計のジオメトリに依存することが明らかとなった. TVカメラにより記録された干渉縞は, フレームメモリを経由してコンピュータに取り込み処理された. この時ミラー上の各点に対して, 波長変化によって干渉縞が動くことから, フリンジスキャンの手法を応用して位相を正確に求められるが, 波長の変化が不連続である等の理由により, 従来のフリンジスキャンニングの手法をそのまま使うことが難しいため, 本手法に適した数値解析手法を開発した, さらに加法的なノイズや干渉縞のデジタル化に用いるディテクター等の非線型性に起因する位相誤差について理論的に検討し, 計算機シミュレーションにより理論の妥当性を確認した. この誤差解析には, 干渉縞のサンプリング条件で決定されるシステムマトリクスの固有値と固有ベクトルを用いている, さらに, このマトリクスの次数を変化させることで直交化される周波数成分の次数が変化するが, 同時に誤差の影響もかわってしまうため, ノイズと非線型性が存在する場合には最適なシステムマトリクスの次数が存在することを明らかにした. 以上のように, 本研究では, 波長を変化させるゾーンプレート干渉計を用いて, 非球面形状を有した物体の形状とそき誤差測定が実現されることを実験的に示した. さらに各種のノイズに対する考察を行なった.
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