研究概要 |
本研究は、AOTVの熱防御に関連して、8〜15km/s(マッハ数、25〜40)の衝撃波背後の非平衡流の特性を、主として衝撃波管実験により明らかにすることを目的としている。本年度の研究により以下のことが明らかにされた。1.自由ピストン2段膜衝撃波管特性:(1)初期圧0.1〜10mmHgの空気中に6〜14km/sの衝撃波を発生させられることが確認された。(2)中圧管圧力の調整により、高度・速度ともにAOTVの大気圏再突入時の状況を再現できることが確認された。(3)高圧部圧力の調整がアルミ膜の自然破膜圧力によっているため変動が大きく、このことが性能を大きく左右することがが明らかにされた。その改良のため自動弁の設計がなされ、62年度にその製作・性能試験を行う予定でいる。2.衝撃波構造:(1)衝撃波背後の発光分光観測を行い、初期圧0.1mmHg,衝撃波速度9〜12km/sの場合、発光の立ち上り時間,発光持続時間ともにアレンのデータとほゞ一致し、発光構造に関する限り、管径の影響は少ないことがわかった。(2)イオン・プローブの出力波形の発光波形との同時観測による比較により、粘性衝撃波厚さ,反応域厚さ,高温域厚さの見積りを得ることができた。今後、電子ビームを用いたより精密な観測を予定している。(3)35GHzのマイクロ波を用い、反射法により電子密度を計測したが、測定値は予想値をほゞ1ケタ下回った。空間分解能に問題があると考えられ、その改良が今後の課題である。3.数値解析:(1)ランダム・チョイス法およびFCT法による衝撃波管内波動に関する数値解析がなされ、中圧管々末での反射波と接触面の干渉が測定部流れに及ぼす効果が調べられた。(2)二次元非定常非粘性圧縮流に対して、緩和法スキームが開発された。粘性流,反応性流への拡張と衝撃波管内流れの適用を予定している。
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