研究概要 |
1.既に開発したε=【10^3】/sec域の高速引張り測定装置のεより1桁上げたε=【10^4】/sec域の高速引張り負荷装置を、著者の開発したOne bar methodにもとづいて、設計,製作を行った。 2.体Fe(c=3ppm,N=3ppm)の高速脆性は極めて激しいが、この微視的機構は低εでは最終破断まで粒界破壊が起らないのに対し、高ε(【〜!=】【10^3】/sec)では、破壊が粒界破壊でおこる事に基づく事を明かにした。 3.軟鋼LH(C=0.033),LI(C=0.10),LJ(C=0.21)について、ε=【10^3】/sec域までの高速引張りを行い、ε=【10^3】/secの高速引張りでも Cの増大に対し塑性域最大応力【γ_p】は増大、伸び【ε_T】は低下、吸収エネルギーE'abは増大する事を見出した。 4.FCCのAl-1.0SiとAl-1.52Cuとについて、ε=【10^3】/sec域の高速引張りを行い、何れも延性破壊を示すが、Al-Siでは高速で伸びが僅かに減り、一方Al-Cuでは高速で伸びが僅かに増すことを見出した。 5.構造用炭素鋼3種:S15C,S35C,S55Cの環状切欠付丸棒試片の高速引張りを行い、高速引張り(【ε!´】=【10^3】/sec)においても塑性拘束係数が2.4〜2.8の値を示す事を見出した。 6.エンジニヤリングプラスチックス3種(ポリエーテルエーテルケトン,ナイロン12,エポキシ樹脂)と粒子分散複合材料アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂の【ε!´】=【10^3】/sec台の高速引張り応力一歪縮図を破断まで精密に測定し、前3者では高速脆性と吸収エネルギEabの低化を示すのに対し、ABSでは【ε!´】増大に対してEabの増大を示し、耐衝撃性の点で、前3者と全く異なる優れた挙動を示す事を明かにし、高歪速度域研究の重要性を如実に示した。
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