研究概要 |
1.歪速応ε=10^4/s台の新しい高速引張方式の研究を行い,達成の為の装置各部を建設,予備実験を行い,更に10^5/s台を得る為の研究を進めている. 2.軟鋼のS15C〜S55Cの範囲でのε=10^3/s域の高速引張りの一連の測定を行い,歪速応によるCの効果の変化を明かにした. 3.オーステナイト系ステンレス鋼のε=10^3/s域の高速引張りの一連の測定を行い,歪速応によるNiの効果の変化を明かにした. 4.OFHC鋼の10^3/s域の高速引張りの研究を行い,10^3/s域で流動応力が10^<-3>〜10^<-1>/s域の延長後より著しく増大する事実を見出し,塑性変形の機構に変化の有ると思われる事を示した. 2の点は従来,圧縮型のスプリツト・ホプキンソン棒法で行われていた為,棒とコイン状の試片との摩擦が存在するので,上述の増大を摩擦に帰するか否かで世界的に大きい論争となっていた問題に,摩擦の存在しない引張型の実験で,増大を証明したもので,10^3/s域で熱活性型の抵抗より活性抵抗に脆るとする考えに有利な証據を提供するものである. 5.エポキシ樹脂,ポリカーボネート,ABSーGF複合材料の10^3/s域の高速引張り力学物性の研究を行い,前二者で高速脆性が,ABSーGFで高速延性が発現することを明かにした. 6.高速固体力学物性測定のため用いられる弾性棒法の渚型式を比較検討し応力状の棒中伝播による減衰,分散を最小にするため,とるべき方向を実測にもとづいて明かにした.
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