研究概要 |
昭和62年度は,当科学研究費補助金で購入した複合ねじり試験ユニット(島津製作所TQ1ー201型)を電気油圧サーボ式材料試験機(島津サーボパルサEHFーEBー10型)に増設するとともに,既設の高温複合重荷試験機,引張りーねじり複合クリープ試験機を用いて下記の研究を行った. 1 上記サーボパルサを用いて,広範囲の負荷条件下での引張り・圧縮ーねじり複合実験を行うため,パーソナルコンピュータ(ソードUNIBOX 2001型)に対する計測制御処理用ソフトウエアを開発した. 2 このソフトウエアと昭和61年度に試作した高温用引張り・圧縮ーねじり組合せ変位計を用いて,各種複合負荷実験を行い,実験精度の向上を検討している. 3 以上の研究と並んで,既設の複合負荷試験機を用い,600℃での316ステンレス鋼に対して,低ひずみ速度範囲における高温多軸繰返し塑性・クリープ相互作用を研究した. この結果,(1) 比例負荷経路での一定ひずみ振幅での繰返し変形後のクリープ変形の場合,先行繰返し応力方向と直交する方向のクリープ速度は小さく,著しい交差硬化が認められた. (2) 先行繰返し塑性変形後のクリープに対する交差硬化は,クリープの際の負荷応力が大きい程小さい. (3) 繰返し硬化が同一の値に達した三つの場合,すなわち円形繰返しで硬化が飽和した場合,これよりも大きな円形ひずみ経路で繰返し変形を与えて未飽和の場合,および比例繰返しで硬化が飽和した場合の後続クリープに対する影響は,この順番に小さくなる. 4 2次元非比例負荷の下でのクリープき裂進展過程を損傷力学と有限要素法で解析し,高温機器要素の破壊寿命算定に対する損傷力学の有効性を示した. このとき,クリープ損傷によるクリープき裂進展過程に対する異方弾性損傷の効果も明らかにした.
|