研究概要 |
非平衡合金相の形成を種々の実験手段を用いて試み,合金の種類による非平衡相の形成の難易を熱力学的基礎に立って系統的に解明する研究を行って成果を挙げている. 実験手段としては,スパッタリング,液体急冷,メカニヤル・アロイニグを用いている. スパッタリングによっては,基板を冷却することにより,AlーMu,AlーCr合金において準結晶相を作成することに始めて成功し,膜状に成長する準結晶相に成長の優先方位が3回対称軸方向であることを確認した. また,液体急冷によっては,従来ほとんど研究がなされていなかったIIIーV族化合物とIV族元素との非平衡固溶合金の作成をGeとAlSb,GaSb,IuSb 素について試みGaSbとGe素については,ほぼ全組成にわたって固溶相を強制的に作成し得ることを確認した. メカニカル・アロイングは従来N基の耐熱材料を作るなど高合金の微細組織を作る工業的手法として利用されてまたが,多くの合金等において長時間のメカニカル・アロイングによって,非平衝な従来知られていない合金組織の形成が報告されるようになり,非平衝合金作成手段として新しい観点から注目されつつある. 本研究ではAlーFe素合金において,系統的に組成と処理時間とを変化させて研究を行った結果,Alを主成分とする時にはFe粒子が分解,分散しナノメーターの粒子となり,未知の準安定結晶相として分散すること,また同時にAlの基地も結晶粒度が数10ナノメーターにまで微細化することを見出した. 又,Fe側への合金においてもFeの結晶粒が数ナノメーターにまで微細化することが判明した.
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