研究課題/領域番号 |
61420039
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
新宮 秀夫 京都大学, 工学部, 教授 (20026024)
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研究分担者 |
石原 慶一 京都大学, 工学部, 助手 (30184550)
小林 紘二郎 京都大学, 工学部, 助教授 (70026277)
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キーワード | 非平衡 / 準安定平衡 / メカニカルアロイング / 固相反応 / アモルファス / 過飽和固溶体 |
研究概要 |
非平衡合金相の形成をとくにメカニカルアロイング法により種々の合金について試みた。その結果をスパタリング等、気相・プラズマを利用した非平衡相の形成の実験結果と比較、検討した。 メカニカルアロイング法により先ず、合金の混合自由エネルギー値が負で大きい2元合金系の例として、AlーFe、AlーTi、AlーNi系のメカニカルアロイングの過程を調べた。AlーFeおよびAlーTi系においては、固相反応によるアモルファス化の起ることが確められ、そのアモルファス形成組成範囲はスパタリングによる組成範囲とほぼ一致した。AlーNi系においては、アモルファス相の形成は認められず金属間化合物Ni_3Al相の形成が起った。NiAl_3の形成エンタルピーはAl_3FeやAl_3Ti等よりも大きくアモルファス相と化合物相との自由エネルギー差が大きいことが、メカニカルアロイングによりアモルファス相の形成の起らない原因のひとつと見なされる。 次に混合の自由エネルギーが正で大きい合金系の例としてAgーFeおよびCuーFe2元合金についてメカニカルアロイング法により非平衡合金相の形成を試みた。AgーFe合金においては電子顕微鏡観察の結果数10ナノメートルのAgおよびFeの粒子の混在する超微細組織の形成されることが見出されたが、AgおよびFe中へのFeおよびAg原子の固溶については確認できなかった。CuーFe合金では組織的にはAgーFe系の場合と同程度の微細組織の形成が確かめられ、更にCu中にはFeが、Fe中にはCuが数十パーセント固溶することが、格子定数測定から確かめられた。 とくにCuーFe合金では70at%Cuという高Cu濃度においてfcc構造の強磁性試料が得られた。これは過飽和にFeを固溶することによりfccの格子が膨張したためと考えられる。
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