研究概要 |
最終年度の本年においては、検出器及び遮蔽体システムの総合的な組み上げとチェックを行い、(n,2n)反応断面積の測定に適用した。同時にデータ処理法の定式化とコードの整備を行い、(n,2n)断面積及び、その誤差の導出法を確立した。詳細は昨年度までの分を含め別途研究報告書にまとめる。 1.^3Heカウンターの再配置とシステムのチェックを行った。検出器の信号処理回路(前置増幅器入力部)に改良を加え、安定性の向上を図った。 2.昨年度設計した中性子源遮蔽体を^3Heバンク検出器と組合せ、実際の高エネルギー中性子に対する性能試験を行い、満足すべき性能が実証された。実測データを基に鉄のコニカルコリメーターを設計制作し、遮蔽性能の強化を図った。(なお、昨年設計した円柱型遮蔽体は費用の面で制作が困難であったので角形のものに変更した。) 3.データ処理法の定式化とコード化を進め、実用化した。 4.東北大学ダイナミトロンにより14MeV中性子を発生させ、ベリリウム。鉛など核融合中性子工学で確定が急がれている核種に対する測定を行いデータを得た。このシステムにより十分な信号対バックグランド比で(n,2n)中性子の測定が可能であり、本測定手法の優れた特徴が確認された。 5昨年度、飛行時間法により求めた(n,2n)中性子スペクトルと計算による検出効率から(n,2n)反応断面積を導出した。詳細は報告書にまとめるが、誤差が若干大きいので検討を進めている。なお、飛行時間法で求めた(n,2n)中性子スペクトルの解析を行い、結果を公表した。 6.本測定システムは(n,2n)反応のみならず、(n,3n)、核分裂中性子数など飛行時間法の測定では不可能な物理量の測定にも有効なので、さらに測定対象を広げて一連の測定を行い、新たな実験データを提供する。
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