研究分担者 |
小林 守 筑波大学, 地球科学系, 講師 (10153644)
高橋 伸夫 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (50015773)
古藤田 一雄 筑波大学, 地球科学系, 教授 (40015540)
河村 武 筑波大学, 地球科学系, 教授 (20111362)
吉野 正敏 筑波大学, 地球科学系, 教授 (60015956)
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研究概要 |
都市化の進展に伴って都市域の気候は変化し, 周辺の田園地域の気候との差違を拡大させている. これは都市域における人間活動が, 都市の構造や機能を変えることによって生起されるものである. それゆえ, 都市気候の形成メカニズムを明らかにするためには人間の諸活動の気候学的意義を問いなおす必要がある. 本研究は, このような観点から計画されたもので, 本年度の研究活動も, このような点に着目して実施した. まず第1に関東地方の10都市(千葉, 武蔵野, 三鷹, 高崎, 宇都宮, 熊谷, 川越, 行田, 春日部, 下妻, 石下)において, ヒート・アイランドの調査を実施し, これらと地表面の凹凸のアーバンキャニオンにおける天空比・地表面における放射収支・地表面温度の関係を調べた. さらに, カイツーンを用いて都市境界層内の放射収支や気温構造についても調査した. 以上の他, 都市域及び周辺の田園地域における土じょう水分の連続観測を実施した. 土じょう水分の状況は地表面熱収支と密接にかかわるものでありその調査は極めて重要である. しかし, 観測機器のこともあり, 世界的にも未開拓の分野で, この研究は世界的にも期待されるところが大きい. 以上の現地観測の他に, 10都市の調査日のランドサットの熱映像の解析によるヒート・アイランドの研究も実施した. なお, この研究は, 諸外因でも注目されており, 1987年12月7日〜11日までの5日間, ブラジルのサンパウロで開催された国際シンポジウム「都市化と環境質ー気候のマイナス効果ー」に代表者西沢利栄が招待講演を依頼され発表した. さらに, この際, 都市ヒートアイランド内のオワシス効果に及ぼす空間的スケールの影響について, 下妻における土じょう水分の観測結果などを用いた発表は, 高く評価された.
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