研究課題/領域番号 |
61420049
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
西沢 利栄 筑波大学, 地球科学系, 教授 (90062512)
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研究分担者 |
小林 守 筑波大学, 地球科学系, 教授 (10153644)
高橋 伸夫 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (50015773)
古藤田 一雄 筑波大学, 地球科学系, 教授 (40015540)
河村 武 筑波大学, 地球科学系, 教授 (20111362)
吉野 正敏 筑波大学, 地球科学系, 教授 (60015956)
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キーワード | 都市気候 / 放射収支 / 天空率 / アーバンキャニオン / 都市構造 / 車の排出熱量 / スケール効果 |
研究概要 |
都市化の進展に伴って都市域の気候は変化し、周辺の田園地域の気候との差違を拡大させている。これは、都市域における人間活動が都市の構造や機能を変えることによって生起されるものである。それゆえ、都市気候の形成メカニズムを明らかにするためには人間の諸活動の気候学的意義を問いなおす必要がある。本研究は、このような観点から計画されたものであり、本年度の研究活動も、この点に着目して実施した。 昭和63年2月に実施した、関東地方の11都市(千葉、武蔵野、三鷹、宇都宮、高崎、熊谷、川越、春日部、行田、水海道、下妻、つくば)のヒートアイランド同時観測資料の解析を行った。その結果、ヒートアイランド現象はいずれの都市にもみられ、その強度(ΔT)は最大の都市規模をもつ千葉で最大(21時で約5℃)で、都市規模の最小の下妻で最小(約2℃)であり、他都市は両者の間の強度を示した。また、ΔTは当該年度に詳しく調査した都市内外の天空率ともほぼよい対応を示すことが実証できた。ただ、ΔTは都市規模・天空率と単備な比例関係をもつとは言えず、気象の一般場の差違による影響とのからみもあり都市ヒートアイランド特性は複雑である。この点については、一般場の影響の除去、ランドサットの熱映像解析などを通して次年度に結論づれたい。 都市ヒートアイランドの発現過程に対する放射の役割を吟味するため、単純な場を設定し、カイツーンによる都市境界層内の気温・湿度・風の鉛直構造、係留用放射センサーによる放射収支項の鉛直構造についても調査した。また、アーバンキャニオン内の人工熱源として極めて重要な車の排出熱量が、気温に与える影響についても東京で観測し、少くとも地表面付近(約5m以下)では、その影響を抽出することができた。 なお、本研究は諸外国でも注目されており、日本・アメリカ合衆国・カナダの3国による共同観測が次年度から計画されている。
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