研究概要 |
本研究ではフーリエ変換型の分光器を用い、より小さな試料でより短い時間で測定可能な顕微反射分光装置を開発し、さまざまな有機伝導体の反射スペクトルを測定し電子状態を研究することを目的とした。本装置は本体と顕微反射装置から構成され、クライオスタットを装着することにより低温での測定も可能である・本装置の特徴は、1)試料と標準試料を交互測定できること、2)カサグレインの倍率を15倍にしているため、測定可能な試料の大きさは10Ox100μmであり、入射角は最大16°であるため正反射の条件をほぼ満足していること、3)ハーフミラーを使っていないため、ビームスプリッターと検出器を変更することで波長領域を拡大できること、4)干渉計の駆動鏡をキュービックミラーを用いているのでS/N比が高いこと、5)4600〜650cm^<-1>での分解能が0.5cm^<-1>であることなどである。一方有機伝導体として非対称な分子DMETのラジカル塩を合成し、その構造、物性を調べた。電気伝導度の温度依存性からDMETのラジカル塩は5つのグループに分けられる。第1は陰イオンが正八面体型で半導体、第2は陰イオンが正四面体型で金属的であるが低温で半導体へ転移するもの、第3は陰イオンが直線型で金属的であるが低温で半導体に転移するもの、第4は陰イオンが直線型で極低温まで金属のもの、第5はAuBr_2塩で半導体ー金属の挙動をするものである。そのうちAu(CN)_2AUI_2,AUCl_2,I_3,IBr_2の各塩およびAUBr_2塩2種類の合計7個の有機超伝導体を発見した。非対称分子を用いた有機超伝導体としては世界で初めてのものである。これらの伝導体の電気的、磁気的性質を検討した。また上記の装置を用い、これらのDMETのラジカル塩の反射スペクトルを測定した。AuBr_2塩ではその温度変化も測定した。これらの反射スペクトルには電気伝導度の温度変化の挙動に関連した構造の違いがはっきりと反映されており、構造との関係を検討した。
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