研究概要 |
シクロプロパン,シクロブタンのオールケイ素類縁体としてヘキサネオペンチルシクロトリシラン【1!_】,ヘキサキス(トリエチルシリル)シクロトリシラン【2!_】,オクタイソプロピルシクロテトラシラン【3!_】,オクタキス(エナルジメチルシリル)シクロテトラシラン【4!_】を対応するジハロシランのアルカリ金属による還元的カップリングにより合成し、これら新規物質の構造をIR・UV・NMR・MS・X線結晶解析により同定した。また、【1!_】,【3!_】,【4!_】のIPをPESにより測定し、その値としてそれぞれ6.90,7.35,6.95eVを得た。したがって、これらのシクロポリシランは予想通り取り扱い容易な高エネルギー物質であることがわかった。 一方、ポリシクロアルカンのケイ素類縁体としてのポリシクロポリシランの1,1,2,2-テトライソプロピルジクロロジシラン【5!_】と1,2-ジイソプロピルテトラクロロジシラン【6!_】とのナトリウムを用いた共縮合による合成を試み、得られた反応混合物をHPLCにより分析した所、反応は多数の生成物を同時に与えることがわかった。ポリシクロポリシランの紫外吸収波長は300nm以上と推定されるのでこの波長でモニターし、第一留出分からパーイソプロピルビシクロ[2,2,0]ヘキサシラン【7!_】をmp384℃の無色結晶として、第二留出分からパーイソプロピルトリシクロ[4,2,0,0]オクタシラン【8!_】をmp235℃の無色結晶として得た。【7!_】の入maxは315nm,精密質量598,4097であり、FDMSの同位体パターンも理論値と完全に一致した。【8!_】の入maxは320nm,FDMSの同位体パターンは理論通りであった。【2!_】,【3!_】の光分解では室温で長時間安定な黄色溶液を得、捕捉実験やスペクトル解析により、この反応で対応するジシレンすなわちテトラネオペンテルジシレン【9!_】,およびテトラキス(トリエチルシリル)ジシレン【10!_】が生成していることが実証された。
|