研究概要 |
実施した観測および実験とその成果は以下の如くである。 1.セジメントトラップによる物質除去機構の研究 東京大学海洋研究所白鳳丸航海を利用して、北部北太平洋(H6.7°N、162.1°E)、ベーリング海、およびアラスカ湾にセジメントトラップを設置、揚収して沈降粒子束の実測とその化学成分の分析を行った。北部北太平洋の780mに設置した時間分画式セジメントトラップの1986年3月21日から6月3日の期間に捕捉された粒子に、異常に高いCs-137とRu-103が検出された。これは4月26日のチェルノブイリでの事故によるものと考えられ、このことから、海水に難溶性の核種は、生物起源の粒子に取り込まれて急速に沈降することが明らかになった。 2.超深海用時間分画式セジメントトラップの開発と日本海溝への設置 6000mを越すような海溝部での物質循環像をさぐる為に、1000気圧下でも作動する超深海用時間分画式セジメントトラップを製作した。1度の設置と揚収の期間を2〜9999時間の任意の時間毎に9期間の沈降粒子を捕捉することができる。1987年1月、白鳳丸航海を利用して、29.0°N,142.9°Eの水深9400mの地点にこのセジメントトラップを設置した。揚収は1987年11月の予定である。 3.海水中の天然放射性核種の測定 北部北太平洋域,ベーリング海,アラスカ湾,フィリピン海,および日本海溝域において、天然放射性核種(U,Th同位体,C-14等)を測定するための海水試料を採取した。
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