研究課題/領域番号 |
61430011
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
角皆 静男 北海道大学, 水産学部, 教授 (00001587)
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研究分担者 |
渡辺 修一 北海道大学, 水産学部, 助手 (00167131)
原田 晃 北海道大学, 水産学部, 助手 (30142706)
乗木 新一郎 北海道大学, 水産学部, 助教授 (80109511)
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キーワード | 深海 / 深海底 / 物質循環 / セジメントトラップ実験 / 沈降粒子束 / 金属成分 / 天然放射性核種 / オーシャンフラックス |
研究概要 |
昨年度に引きつづき、セジメントトラップを主たる研究手段とし、得られた試料について、その化学成分や放射性核種を分析した。いろいろな成果が得られたが、本年度に進展が著しかったのは次の2点である。 ・Paー231とThー230の粒子束と物質の水平輸送 これら二核種は、共に海水に安定に溶けているウランから生れ、海水中では難溶性である。ところが、Thー230の粒子束は、海域にあまり依存しない。一方、Paー231の粒子束は、全粒子束の増大とともに増える。全粒子束の増大は、生物起源のオパールなどに起因し、Paー231とオパールは極めてよい相関関係を示す。また、生物活動が活発な海域で沈降するPaー231の粒子束は、その海での親核種からの生成量より多い。つまり、Thー231は、粒子と極めて強い親和性を有し、生じた海域内で海底に移行するのに対し、Paー231は、生れた海域から生物生産の活発な海域に運ばれて、そこで除かれている。Paー231の平均滞留時間から、物質の水平輸送の大きさがわかり、また、この除去は深層水中でも行なわれていることから物質除去のメカニズムがわかった。 ・有機炭素と炭酸塩炭素の粒子束 昨今、二酸化炭素による地球の温暖化が問題となっているが、海洋が大気中二酸化炭素を吸収するか、逆に放出するかは、有機炭素と炭酸塩炭素の粒子束の量比で決まる。そこで、これまでに得られた試料について、これらの粒子束を測定してみたところ、確かに外洋でも有機炭素の粒子束の方が大きかった。しかし、極めて大きな粒子束を持つ沿岸域や浅海域では、有機物は大部分が分解し、炭酸塩は残るので、その分を考慮すること、一概にどちらが大きいともいえなくなってきた。
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