研究概要 |
本年度は,招へい講師のナンド・ラル博士,研修員,院生の協力のもとに精力的に実験を進めることができた. まづ,昨年度不足した画像解析装置を完備して,浜松ホトニクスと共同でソフトの充実を計ることができた. 鉱物,とくにジルコンのエッチングについて撤底した研究を行ない適正エッチングの条件を決定することができた(論文参照). それらの基礎的研究をもとにして, フィッション・トラック年代決定法の手法の検討を行ない,外部検出材を用いる方法を今後採用することとして実験手法をまとめることができた(論文参照). その手法を用いたとき,世界中に広く用いられている標準年代試料により,ゼーター値を求め,研究者の精度を検討することができた(論文参照). 更に飛跡の画像解析によって,飛跡長の正確な測定法を開発し,アパタイトの勿論,世界的に始めてのジルコンの熱アニーリングの基礎的検討を行ない,それらの利用について検討し,まとめた解説を日本地熱学会誌に掲載することができた. 熱蛍光法については,手法の改善につとめ,パソコンのソフトの開発につとめた. 一方,当研究室所有のイントリジック・ゲリマニウム検出器と多重波高分析器のパソコンによるコントロール化につとめ,u,th,kの定量を正確にすることができ,とくに放射化分析と組合せ,非平衡状態も正確に求められるようになり,Raが濃集している活断層の活動年代を求める可能性を見出した. これら二つの手法を用いて,他の領家帯の熱史,他の岩体の年代を求めることも進めた.
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