アパタイトセラミックスにおける固溶化反応と構造物性制御

1988 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 61430018
• 研究機関: 東京都立大学
• 研究代表者: 金澤 孝文 東京都立大学, 工学部, 教授 (60087286)
• 研究分担者: 井上 博之 東京都立大学, 工学部, 助手 (10193608) ; 山下 仁大 東京都立大学, 工学部, 助手 (70174670) ; 近沢 正敏 東京都立大学, 工学部, 教授 (90087289) ; 梅垣 高士 東京都立大学, 工学部, 助教授 (70087287)
• キーワード: アパタイト固溶体 / プロトン導電性 / 湿度センサー / アパタイトージルユニアコンポジット / 化学的耐久性 / 水酸アパタイトセラミックス / リン酸三カルシウムセラミックス

研究概要

本年度は水酸アパタイト(HAp)と各種固溶アパタイト(ssーHAp)のバルクおよび表面機能に関する次の諸項目((1)〜(4))に関する研究を遂行した。以下にその成果を述べる。
研究項目
(1)HApおよびイットリウムssーHApセラミックスにおけるプロトン伝導特性とその機構
(2)HAp、イットリウムssーHAp、およびナトリウムssーHApの各セラミックスにおける経時変化の機構
(3)HApーZrO_2系コンポジットの固相反応
(4)HAp、ssーHApのセンサー特性
研究成果(ここの(1)〜(4)は研究項目の番号に対応する)
(1)電気化学的手法(水素濃淡電池、水蒸気電解セル)によりHApおよびイットリウムssーHApセラミックスのプロトン輸率は、600〜1000°Cにおいてほぼ1であること、即ちこれらにおいてチャージキャリアーはプロトンで10^<-4>〜10_<-3>Scm_<-1>の導電率を有することを明らかにした。
(2)HApセラミックスにおいて導電率で3桁の経時変化を見い出した。経時変化の様相に及ぼす熱処理の影響や、各種固溶イオンの効果についても明らかにした。
(3)HApーZrO_2系コンポジットの固相反応において大気雰囲気ではアパタイト構造は分解する。この分解機構のモデル化と、抑制に水蒸気やZrO_2の安定化剤の有効性について成果を得た。
(4)アパタイトガスセンサーの湿度感応特性は水酸イオンの格子欠陥が強く相関することを見い出した。イットリウムssーHApにおいてこの推論を証明した。

研究成果

• [文献書誌] Takao,Umegaki: Memoirs of Facrlty of Technology,Tokyo Metropolitan University. 37. 69-75 (1988)
• [文献書誌] 梅垣高士: 石膏と石灰. 213号. 37-41 (1988)
• [文献書誌] Kimihiro,Yamashita: 日本セラミックス協会学術論文誌. 96. 616-619 (1988)
• [文献書誌] Kimihiro,Yamashita: Solid State Ionins. 26. 279-286 (1988)
• [文献書誌] Kimihiro,Yamashita: 日本セラミックス協会学術論文誌. 96. 967-972 (1988)
• [文献書誌] Kimihiro,Yamashita: Solid State Ionics. 28ー30. 660-663 (1988)
• [文献書誌] 大和田仁: 石膏と石灰. 217号. 7-12 (1988)
• [文献書誌] Kimihiro,Yamashita: Proceedings of the International Institute for the Science of Sintering Symposium. 1320-1325 (1988)
• [文献書誌] 野尻剛: 電気化学. 56. 1026-1027 (1988)
• [文献書誌] Kimihiro,Yamashita: Chemistry Letters. 375-378 (1989)
• [文献書誌] Takao Umegaki: Memoirs of Faculty of Technology,Tokyo Metropolitan University. 38. 133-139 (1989)
• [文献書誌] Takafumi,Kanazawa: "Inorgoanic Phosphate Materials" Kodansha,Elsevier, 13 (1988)
• [文献書誌] Kimihiro,Yamashita: "Inorganic Phosphate Materials" Kodansha,Elsevier, 50 (1988)
• [文献書誌] Takao Umegaki: "Inorganic Phospgate Materials" Kodansha,Elsevier, 52 (1988)