研究概要 |
エチレンプロピレンコポリマーの連鎖分布をINADEQUATE2次元法で解析する方法は計画の通り行われ成功している。ポリエチレンの分岐については、INADEQUATEの測定感度が悪いために微量の分岐炭素の同定が難しい。ポリプロピレンのINADEQUATE2次元スペクトルから従来困難と考えられていたメチン部分の帰属が可能となった。ポリビニルアルコールについてはプロトンJ-分解2D,プロトンCOSY,【F_1】軸ブロードバンドデカップルCHCOSY,INADEQUATE2D等の新しいNMR測定法を駆使して解析した。プロトンではトリアッド-ラトラッドレベルで、また【^(13)C】ではペンタッド-ヘキサッドレベルで絶対的に帰属が可能となった。その結果、強度分布はベルヌーイ,1次マルコフ,2次マルコフいずれの統計にも従わないことがわかった。これは従来の帰属法がこれらの統計に頼っていたのに対して、その根拠を失わせるものである。ポリアクリルアミドの【^(13)C】スペクトルの帰属をリレードCHCOSYを含む種々の方法で絶対的に決めた結果、従来決められているのと全く違い、rrとmmのシグナルの帰属が逆であることがわかった。これはいままでシンジオタクトと思われていたものがイソタクトとなるので重要である。2量子,3量子コヒーレンスを利用してポリプロピレンオキシドの帰属も行った。ポリビニルアルコール,ポリアクリルアミド等については高分子討論会(昭和61年11月、阪大工)でその結果を発表した。
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