研究概要 |
本年度は研究設備を整えた上で、下記のごとき成果が得られた。 1)水酸化ナトリウムなどを含浸・添着した活性炭固定層に硫化水素,メチルメルカプタンを含む空気を流して吸着・除去した。未添着炭の数10倍の性能が得られた。スルホン化炭によるトリメチルアミン吸着では、低濃度ほど性能が高くなることなど実用上有用な結果が得られた。(竹内,鈴木義丈) 2)ベンゼン蒸気の熱分解生成物を市販分子ふるいカーボンに添着させて細孔径調節を行った。得られた試料は、酸素対窒素の吸着速度比20を示し、それを用いた圧力スイング吸着実験から空気分離への利用が可能なことが判明した。(茅原) 3)多成分系液相吸着に用いる吸着剤の性能を評価するため、まづ市販の活性炭,多孔質樹脂を用いてアルコールやカルボン酸などの三成分系水溶液の系で平衡と粒内拡散係数を測定した。理想溶液理論とフロインドリッヒ等温式を用いて平衡データの相関を行う簡便法が有用なことが知られた。また、多成分系吸着における粒内拡散係数の吸着量依存性を示す相関式が得られた。次年度は表面改質吸着剤について同様な検討を行う予定である。(古谷) 4)我々が新たに見出した無機系陽・陰両イオン交換体であるハイドロキシアパタイトを用いて、その構造内の【Ca^(2+)】を【Pb^(2+)】または【Ag^+】イオンで一部置換させて改質を行った。それを用いると、長半減期(1.6×【10^7】年)の放射性廃棄物イオン 【^(129)I~】の固定化が可能となることが示唆された。(鈴木喬) 5)ハイドロキシアパタイトへの【Pb^(2+)】,【Cu^(2+)】,【Cd^(2+)】などの単一の二価重金属イオン吸着(交換)における平衡は直角型であることから、移動速度を回分撹拌槽を用いて求め、設計データが得られた。(竹内,鈴木喬) 次年度は、改質吸着剤の調整法を検討するとともに、多成分分離操作のシミュレーションを行う。
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