研究概要 |
1.好熱性細菌のLー乳酸脱水素酵素(LDH)のアロステリック制御部位のヒスチジン残基の役割 Thermus caldophilus GK24のLDHの制御部位のヒスチジン残基Hisー188の制御における役割を明らかにするために、この残基を部位特異的変位によりフェニルアラニンに置換した変異酵素を用いて活性のpH依存性を検討した。アルカリ側での活性の最大活性に対する相対活性の対数をpHにたいしてプロットした直線は、野生型酵素においてはフルクトース1.6ー二燐酸(FBP)添加時に傾斜が1単位増加するが、変異酵素においてはFBPの添加の有無にかかわらず、まったく変化しなかった。これはヒスチジン残基の解離による正電荷がFBPの結合に関与していることを明らかにしたものである。 2.Argー173以外の活性化に関与しているアルギニン残基 Argー173をグルタミンに置換した変異酵素をさらに2,3ーブタシジオンで修飾することにより、基質に対する親和性が増大することが見出された。グルタミン置換変異酵素では野生型酵素にみられたFBP活性化型構造変化がNMRのTRNOEで生じていないことから、活性化には少なくとも、2段階あることが示された。また、この処理により化学修飾されたアミノ酸残基がArgー216であることを解析し、この残基を部位特異的変異によりグルタミン酸に置換した酵素の基質親和性が増大したことから上記の結果を確認することが出来た。
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