研究分担者 |
岸原 信義 佐賀大学, 理工学部, 教授 (40003769)
土屋 智 静岡大学, 農学部, 助手 (60197720)
野上 啓一郎 静岡大学, 農学部, 助手 (50150511)
角張 嘉孝 静岡大学, 農学部, 助教授 (60126026)
熊谷 直敏 静岡大学, 農学部, 教授 (70022043)
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研究概要 |
1.個別機能の定量化試験・・・前年度富士山麓固有林(静岡県下)に設定した落葉広葉樹天然林区(A),ヒノキ人工林壮齢林区(B),ヒノキ人工林幼齢林区(C)の3区を対象に,水循環に関連する諸項目を3月〜11月まで継続観測した. この結果によれば, 上記期間の総降雨量1900mmに対し, 樹冠遮断率はA(25%)〉B(21%)〉C(19%),地表蒸発量はA(5%)〈B(7%)〈C(12%),蒸散量はA(18%)〉B(6%)であった. 土壌水分の動態を把握するために, テンションフリーライシメーターで, 各地で地表下20,40,80cmの深さの透過水量を測定した. その結果では全般的にA〉C〉Bの順に透過水量が多い傾向が知られた. また, 同じ位置にテンシオメーターをセットし土壌水分を継続的に測定したところ, 前年度と同様にA〉B〉Cの順に土湿が多くなり, 深さ80cmの位置では各区とで湿潤で, 測定値の変動は小さかった. スーパーポロメーターで, ヒノキ・ウラジロモミ,ミズナラ,ブナ等の蒸散速度を調べ, それと環境要因との関係によるコンピュータシミュレーションモデルを開発した. 2.林種・立地条件別の浸透能・貯水能の調査・・・・本年は宮城県栗駒山麓(迫川上流域)のブナ天然林地帯で, スギ・カラマツ等の針葉樹に樹種実改された林地を対象に, 浸透能・貯水能の比較測定した結果, その影響を明らかにすることができた. 両者には, 樹種の差というよりも伐出による地表かく乱の影響が顕著にみられた. なお, ブナ天然林の浸透能・貯水能は卓越している. 3.既往流量データの収集による流量解析・・・・・沖浦ダム(青森県)と大倉ダム(宮城県)の両流域の流量記録を, 流域内の広葉樹天然林の伐採経過と対比しながら, 時系列的な解析を試みた. この結果, 伐採により年流出量,年流出率が増加し, その増加は主として高水部の増加に起因することが明かにされた. 流出変化は伐採時期とほぼ一致した.
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