研究課題/領域番号 |
61440015
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
村井 宏 静岡大学, 農学部, 教授 (50126786)
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研究分担者 |
岸原 信義 佐賀大学, 理工学部, 教授 (40003769)
土屋 智 静岡大学, 農学部, 助手 (60197720)
野上 啓一郎 静岡大学, 農学部, 助手 (50150511)
角張 嘉孝 静岡大学, 農学部, 助教授 (60126026)
熊谷 直敏 静岡大学, 農学部, 教授 (70022043)
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キーワード | 広葉樹天然林 / 針葉樹人工林 / 遮断損失雨量 / 林地浸透能 / 土壌貯水能 / 水収支 / 直接流出量 / 流出状況 |
研究概要 |
1.富士山麓の試験地で、林種の異なる3林分を対象に、水収支に関連する各種水文要因の観測を継続した。3月から10月までの観測結果では、各種水文要因とも、前2年間の結果と大差はなかった。すなわち、遮断損失雨量は広葉樹天然林が針葉樹壮齢林よりも、多少上回ることが認められた。ヒノキ新植地は成長による樹冠の拡大と下刈中止による低木や高草類の繁茂により、遮断損失雨量が前年より増大した。樹種・経級別の樹幹流下量をより明確にするために、本年はその測定木を増加したが、その結果特色のある差異が見出された。 2.広葉樹天然林を樹種更改し針葉樹人工林とした場所を対象に、林地浸透能と土壌貯水能の調査を行なった。調査地は北上川水系迫川流域(宮城県)と富士山麓(静岡県下)である。この結果から、浸透能、貯水能ともに、広葉樹天然林地が針葉樹林地よりも、明らかに大きい値を示した。この差は成林地ではそれほど大きくないが、樹種更改時の伐採・搬出に伴なう林地の地表部のかく乱による土壌物理性の悪化が、影響していることがわかった。 3.流域内のかなりの面積が広葉樹天然林から針葉樹人工林に転換された場所で、その下流部にあるダム流量記録の解析を行なった。この対象流域は岩木川水系浅瀬川の2支流域である。1950〜1980代の流況を流域内の林相の変遷と対比したところ、広葉樹木(ブナ・ミズナラ等)の伐採にともない、降雨時の増水が認められ、その面積率の増加にともないその現象が増幅した。しかし、その後に植栽した針葉樹(スギ)の成林とともに、漸次流況はもとの状態に接近する傾向が認められた。すなわち、広葉樹と針葉樹の差というよりも、流域内の幼齢林面積率が流況とくにその短期流出に関与すると考えられた。
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