研究分担者 |
寺沢 實 北海道大学, 農学部, 助教授 (50003124)
笹谷 宜志 北海道大学, 農学部, 教授 (80001410)
香山 彊 北海道大学, 農学部, 教授 (60101135)
高部 圭司 北海道大学, 農学部, 助手 (70183449)
大谷 諄 北海道大学, 農学部, 助教授 (30001465)
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研究概要 |
紫外線顕微分光装置(UV光学系,UVモノグロメータ,キセノン光源等)を発注し, これによりUVカメラ等一部を除き, UMSP80型へ格上げとなった. 1.トドマツ圧縮あて材細胞壁形成において, リグニン沈着の各段階とUV吸収スペクトルの違いをみた. コーナー部細胞間層の木化初期に沈着したリグニンは木化中・後期のもの,及びS2各段階のものと性質を異いし,Pーヒドロキシフェニルリグニンの割合が多いと考えられた. また同じ試料をアクリジンオレンジで染色し, 細胞壁各部位の蛍光スペクトルをみたところ, S2外則と内側の木化過程では異なる傾向を得た. 多糖類の性質の差異と考えられる. 2.シナノキで着色心材をもつものと殆んとない樹について細胞の内容物を顕微分光学的に検討した. 液胞中の着色成分の紫外域, 可視域スペクトル分析から, 軸方向柔細胞と放射柔細胞とでは異なる心材成分を生ずることを明らかにした. またフオイルゲン反応による核の吸収スペクトルから, 核のDNA密度は心材を形成する樹の方が,形成しないものより高いことを見出した. 早期の心材形成と関連あるものと考えられる. 3.ブナ材構成要素細胞壁のUV吸収スペクトルを早材,晩材部と比較してみた. ターミナル部の木繊維2次壁は吸光度が高く,280nm付近に極大を持ち,通常の木繊維リグニンと性質が異なることを明らかにした. 4.広葉樹からのCTMP製造において,酸性および弱酸性下(AcS,BiS)で前処理したものの脱リグニン過程の違い,及びオゾン後処理による脱リグニン過程をUV吸光度及び吸収スペクトルで明らかにした. 5.広葉樹におけるリグニンの違いを明らかにするためリグニンモデル化合物を調整して,スペクトル,吸光係数をみる必要性について討議した.
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