研究概要 |
家畜の尿毒症において体内に産生・畜積される尿毒素(UT)としては種々様々な物質が考えられるが, それらの中でも特に重要と思われるグアニジン誘導体(GC), アミン類, インドール類, フェノール類および中分子量物質(MMS)の産生経路, 産生・蓄積過程, 生体への影響ならびに動物種差等について検討するために, 前年度にひきつづき, 各UTの高速液体クロマトグラフィーによる分析法を検討するとともに分析可能なUTについては測定を開始し, 本年度には下記の結果を得た. 1, 陰イオン交換樹脂を用いたHPLCによる尿毒症犬血清の分析を実施した結果, MMSの可能性を持ついくつかの物質が判定された. また, それらのうちのひとつはNMR測定などによりベンゾール環誘導体であることが推定された. 2, 尿および血清中のアミン類(ポリアミン)およびインドール類の分析における検体処理法について検討を行った結果, いづれも吸着法あるいは通常の除たん白法により10%程度の変動係数で測定することが可能であることが判明し, 尿毒症時の検体の測定を開始した. 3, 血液中のフェノール類の分析ではHPLC法は比較的困難であるため, HPLC分析法とともに比色法による分析法についてもあわせて検討をすることとした. 4.犬および猫を用いて腎臓摘出および薬物投与による急性腎不全および人工透析実施による亜急性モデルを作製し, 本学付属家畜病院に来診した自然発症例と併わせて血液およ尿の採取を行い, 検体として保存するとともに分析可能なGC, MMS, インドール類およびアミン類については分析を始め, 本年度購入した汎用パーソナルコンピューターにデータを集積することを開始した.
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