研究課題/領域番号 |
61440022
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹内 啓 東京大学, 農学部, 教授 (90011874)
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研究分担者 |
西村 亮平 東京大学, 農学部, 助手 (80172708)
大橋 文人 大阪府立大学, 農学部, 講師 (10126013)
高井 信治 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (20013188)
佐々木 伸雄 東京大学, 農学部, 助教授 (60107414)
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キーワード | 尿毒素 / 尿毒症性ピ-ク / ベンゾ-ル環誘導体 / メチルグアニジン / インド-ル酢酸 / 赤血球浸透圧抵抗 / 血小板凝集能 / 運動神経伝導速度 |
研究概要 |
本年度は本研究の最終年度に当たるので、主として下記の2項目の研究を行い、過去3年間に得られた動物の尿毒素に関する主要知見の最終的検討を行った。 1)尿毒素として可能性の高い中分子量物質(陰イオン物質)の分離・精製・同定:従来の研究成果をもとに、実験的尿毒症犬の血清を除蛋白後強塩基性陰イオン交換樹脂によるHPLCで分析し、得られた25ピ-クの内、クレアチニン値の増加ととくに強い相関を示したS7、S10、S18、S23の各ピ-クを対象に実施した。逆相HPLC、薄層クロマトグラフィ-、^1HーNMR等による分析ならびにUV吸収特性の測定結果から、S18が単一物質から構成される尿毒素の一つである可能性が明らかになった。この物質は270ー280ならびに210nmにUV吸収を持ち、遊離アミノ基はないが、ベンゾイル基およびメチレンを持つベンゾ-ル環誘導体と判明した。 2)尿毒素の生体への影響に関する検討:従来から不明の点の多かった尿毒症と尿毒素の病態との関係を解明する糸口として、本研究の従来の成果から尿毒素の疑いが強いメチルグアニジン(MG)とインド-ル酢酸(IAA)について、これらを単独投与した場合と組み合せて投与した場合の神経系および血液系の病態を比較検討した。その結果、MGおよびIAAの単独投与時にはそれぞれ赤血球浸透圧抵抗の減弱ならびに血小板凝集能の亢進が見られるが、MGおよびIAAを組み合せて投与した場合には後者が軽減するのに反し、単独投与時には見られなかった運動神経伝導速度の有意なる遅延が発現した。以上から、多数の尿毒素が関係する尿毒症時の病態は、各尿毒素の病態の単純な総合として表されるものではなく、極めて複雑な発現形式をとることが明らかになった。
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