研究概要 |
本年度の研究目的として、凍結超溥切片を高加速電圧下(200KV)で観察することによって、低電子線損傷下におけるギャップ結合の高分解能観察の可能性を検討するとともに、カルモジュリン(calmodulin,CaM)の細胞内結合部位の細胞化学的検出を行った試料についても低電子線損傷下における観察を行った。 材料と方法 ラットの心と肝を摘出,細切し、4%パラホルムアルデヒドと0.05%グルタルアルデヒド混液で30分間浸漬固定を行った。PBSで洗浄,2.3M蔗糖溶液に浸漬後、液体窒素で急速凍結を行った。凍結超溥切片を作成し、コロイド金標識CaMと37℃、1時間反応後、洗浄,メチルセルロースに包埋,JEM-2000EX電子顕微鏡にて、加速電圧200KVで観察した。 結果と考察 高加速電圧(200KV)下では、凍結超溥,メチルセルロース包埋試料の高倍率観察(5万〜15万程度)が可能であった。心筋細胞におけるCaM-結合部位は、シトコンドリア,筋小胞体,ギャップ結合に認められた。肝細胞においては、核クロマケン,粗面小胞体,シトコンドリア,ギャップ結合に観察された。使用した金粒子の直径が20nmであるために、現時点において、ギャップ結合におけるCaM結合の詳細な局在部位は明らかではないが、直径の小さいコロイド金を用いることにより詳細な観察が、高加速電圧下では、可能であると考えられる。
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