研究概要 |
本年度の研究目的は, 凍結超薄切片法あるいは, 細胞分画法を用い, クライオトランスファー(CTH)と200KV電顕を利用することにより, ラット心筋または肝のギャップ結合を極低温, 低電線損傷下にて, 高分解能観察することである. 材料と方法 化学固定(2%パラフォルムアルデヒドと2%グルタルアルデヒド混液にて4℃, 60分間)した肝, 心筋を細切し, 2%酢酸ウランにて80分間染色する. 液化窒素を用いて急速凍結した試料より凍結超薄切片を作製し, マイクログリッドの支持膜を付着させたダブルメッシュ上に回収し, 試料温度を-120℃以下に維持しながらCTHに装着し, 電顕(JEMー2000ES)内に挿入する. 観察前に, 電顕内にて試料温度を-100℃で20〜60分間維持し, 観察は, -160℃以下にて行う. 一方, ギャップ結合をManjunathらの方法にて分離し, ホルムバールの支持膜を付着したメッシュに伸展し, 2%の酢酸ウランにてネガティブ染色を施す. 一部にメッシュは口紙にて染色液を取り除き, 十分に乾燥した後に通常の電顕観察を行う. 他のメッシュは染色後, 乾燥せず直ちに急速凍結を行い, 凍結超薄切片を同方法にて観察する. 結果と考察 凍結超薄切片および分離ギャップ結合も極低温下にて観察する場合, 試料温度を-160℃(含水状態)に保持し直ちに観察すると, 電子線照射を出来るかぎり抑えても水の急激な昇華のための微細構造の破壊が著明であった. これは, 観察前に試料を-100℃に維持することにより克服された. ギャップ結合の構造は, 凍結超薄切片法では通常電顕像と差異はなかったが, 分離ギャップ結合のネガティブ像では, コネクソンの直接, 中心間距離ともクライオ電顕像でやや大きい傾向が観察された.
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