研究課題/領域番号 |
61440027
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
永坂 鉄夫 金沢大学, 医学部, 教授 (80023646)
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研究分担者 |
平井 敦夫 金沢女子短期大学, 助教授 (00141367)
野田 祐子 金沢大学, 医学部, 助手 (20180755)
紫藤 治 金沢大学, 医学部, 講師 (40175386)
平田 耕造 金沢大学, 医学部, 講師 (70110624)
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キーワード | 温熱皮膚血管収縮 / 動静脈吻合 / 交感神経 / 皮静脈血流量 / 熱放散量 / 選択的脳冷却 |
研究概要 |
強い温熱負荷時に起きる生体の末梢自律防御反応を解析し、暑熱・高体温下での体温調節機構に新たな知見を加えることを目的とした。1.ヒトの皮膚における温熱血管収縮の機序。静脈閉塞法、レーザードップラー法等を用いて皮膚毛細管と動静脈吻合(AVA)の血流量を分画測定し、当該血管反応にAVAの関与が大きいことを確認した。AVAのない前腕、下腿等の皮膚にはこの反応は認められなかった。これは芯部体温の高い時に限って認められる反応で、外界から体内への熱移動を遮断する目的をもった反応であると考えた。局所の温熱感覚との相関、温熱侵害反射との異同等について神経反射、温度感覚、心理面から検討を加えた。強い精神的緊張でこの温熱皮膚血管収縮が抑制され、この反応の起きる時正中神経の交感神経活動の増加を認めた。以上のことからこの温熱皮膚血管収縮が交感神経の調節を受けた反応であると結論した。2.前腕・下腿からの熱放散は手・足のAVA血流量に依存する。運動時には上肢からの熱放散量が増加するが、それは手指血流量と手からの熱放散量が著増するのと同期する。手指のAVAを通過した血液はほとんど全部が腕の皮静脈を通過し直上あるいは隣接の皮膚温を上げ、前腕部位からの非蒸発性熱放散量を大きく増す。更に局所皮膚温の上昇で発汗量も増えることが判明した。3.暑熱暴露時の顔面血流変化。顔面の眼角静脈、導出静脈等の反応について観察し、選択的脳冷却機序がヒトに存在するか否かを検討した。温熱負荷により顔面の発汗が開始されると、前額皮膚血流量が著増し眼角静脈の流れが逆転、大量の静脈血が顔面から頭蓋底に向けて流れる結果が得られた。この流れの逆転の起きる時期にほぼ一致して、上昇中の鼓膜温と食道温の関係が逆転した。暑熱時の正常健康人で眼角静脈等の静脈血還流量の増加が選択的脳冷却を促進するとの結論をえた。
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