研究課題/領域番号 |
61440029
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
栗山 煕 九大, 医学部, 教授 (40037495)
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研究分担者 |
伊藤 猛雄 九州大学, 医学部, 助手 (70159888)
北村 憲司 九州大学, 医学部, 助手 (30112345)
鈴木 光 九州大学, 医学部, 講師 (80037548)
平田 雅人 九州大学, 歯学部, 講師 (60136471)
伊東 祐之 九州大学, 医学部, 助教授 (80037506)
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キーワード | プロスタグランジン / トロンボキサン【A_2】 / プロスタサイクリン / ロイコトリエン / セコンドメッセンジャー / 細胞内Ca |
研究概要 |
プライマリープロスタグランジン(PGE,PGF)の作用は神経末端に作用して神経伝達物質放出の抑制することを報告したが(血管や気管)、小腸においては【PGE_2】は神経末端や平滑筋でムスカリン受容器の感受性を高めることがわかった。この作用はトロンボキサン【A_2】(TX【A_2】)では観察できなかった。しかしTX【A_2】は直接平滑筋細胞に作用し、低濃度ではニフェジピン感受性Caチャンネルを活性化し、高濃度ではフォスファチジルイノシトール代謝を促進し、イノシトール3燐酸によって筋小胞体からのCa放出を促進し、収縮を発生することを証明した。またTX【A_2】の受容器はイヌ冠動脈においても部位差が著明で、左回旋技に最も密に存在することがわかった。血管内皮細胞から種々の化学物質刺激によって内皮細胞依存性弛緩因子(EDRF)が放出される。このEDRFは血管平滑筋でcyclic GMPを産生し、細胞膜でのCa-Mg感受性ATPaseに作用しCaポンプを促進するが、同様な刺激によって、プロスタサイクリン(PG【I_2】)も内皮細胞で産生されると共に平滑筋でも産生される。PG【I_2】の産生量は内皮細胞で約5倍高い値を示し、インドメサシンの存在下で共に消失した。血管平滑筋に作用したPG【I_2】はcyclic AMPを産生し、その結果、筋小胞体に存在するCa-Mg-ATPaseを活性化し細胞内自由Ca量を減少させ、さらに形質膜におけるCaポンプも促進する。ロイコトリエン【D_4】(LT【D_4】)は血管平滑筋に作用して収縮を発生させるが、特に脳血管平滑筋では他のアゴニストよりも強い収縮作用を示し、モルモットで他の動物よりも強く作用する。収縮は外液Caを必要とし、phasic相とtonic相は明確に区別できる性質をもつ。後者はCa拮抗薬によって約1/3に減少する。 今後はさらに精細に研究し、種々PG,LDの作用機序を解明する。
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